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m3コンシェルジュ 高橋 和宏

リスクマネジメント・ラボラトリー

高橋 和宏

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの高橋 和宏です。

さまざまな立場の投資家の中で、ドクターが資産運用をするにあたり有利だと考えられる点、気をつけなければならない点はどのような点なのでしょうか?

今回は、ご自身だけではなかなか気付きにくいこの点を取り上げたいと思います。

自分の身を守る投資 第14回
資産運用におけるドクターの立場

自分の身を守る投資 第14回

資産運用におけるドクターの立場

■ ドクターの有利な点

  • 所得が景気に左右されにくいため、不況時(株価や不動産価格が下落している時)でも投資をしやすい
  • 所得が高いため、投資に使える金額やリスク許容度を高くすることができる
  • 資産運用提供者が熱心になってくれるケースが多いため、投資に関する情報が集まりやすく、金額や状況によっては一般の投資家よりも有利な取引ができる可能性がある

仮に、今からリーマンショックのような金融危機が起きたとすると、投資家はどのようなタイプに分かれるでしょうか?

  1. 今まで投資をしていなかったし、これからもやらない
  2. 今まで投資をしていなかったが、チャンスだと思い新たに投資を始める
  3. 既に投資をしており、保有資産の損失が大きいため現状維持もしくは保有資産を売却する
  4. 既に投資をしており、保有資産の損失が大きいがチャンスだと思い追加投資をする

過去の例を振り返ると最も投資が成功した方はBもしくはDの方でした。

しかしながら、一般企業に勤務するサラリーマンの多くは「自身の会社は存続するのか?」「自身の雇用は継続されるのか?」「給与は維持されるのか?」と言った不安が大きく、AもしくはCのケースが大多数です。

一般的に所得が高い会社経営者の方の場合でも、余裕資金があれば投資ではなく会社存続のために資金を使うでしょう。

一方、医療業界は他の業種に比べ不景気であっても業績が落ち込みにくいと言う特徴があります。 景気が悪くなったからと言って病気になりにくくなるわけではないからです。

投資における成功とは端的に言ってしまえば、「価格が低い時に買って高い時に売る」と言うことに尽きます。

金銭面や精神面に余裕があれば、BやDのように金融危機の際でも追加投資しやすくなり、利益増大が期待できるでしょう。

特別に意識されないことだとは思いますが、不景気での投資余力と言う観点から見ると、ドクターは比較的有利な立場にいると言えます。

■ 気をつけなければならない点

  • お子さまが医学部に進学される場合、多額の費用がかかる
  • 情報提供者が多数にわたるため、安易な情報に流されないことが必要

お子さまが医学部に進学される学費、また受験準備のための塾の代金等を考えると多額の費用がかかります。 そして、この費用の特徴は「使う時期が明確に決まっている」と言うことです。

実は「使う時期が決まっている」資金の運用と言うのは、非常に難しいのです。 対比の例として、ご自身の老後資金の運用を考えてみたいと思います。

[例]
 医学部の学費のために5,000万円用意する
 老後資金のために5,000万円用意する

5,000万円と言う数字は、毎月20万円を積み立て、年率平均4%で運用した場合、約15年で達成できる金額です。 年率平均4%の運用成果とは、国際分散投資を行っている場合、過去を振り返ると無理な数字では決してありません。

しかしながら年率平均4%の運用とは、プラスの年とマイナスの年があった上で、年率平均4%の数字となるのであり、一律4%で増えてきたわけではありません。

特に重要なのは投資資金を現金化する時です。 仮に進学をされるタイミングでマーケットが大きく下がっている場合、想定の5,000万円ではなく3,000万円になってしまっているかも知れません。

老後資金の特徴としては、使う時期が分散している点が挙げられます。 仮に65歳でご退職され、その後は年金とご自身の資産を取り崩して生活するケースを考えます。

もしもこの時に、運よく相場が上昇しているケースであれば、運用資産を現金化してもまったく問題はないでしょう。 あるいは、資産の増加を目的とした運用内容から、資産の保全も目的とする「減りにくい運用」に切り替えることもできます。

ところが、先ほどと同じように退職時に想定で5,000万円になっているはずのものが3,000万円にしかならなかった場合どうなるでしょうか?

この場合には「生活に必要最低限な金額だけ現金化し、残りの運用資産については回復を待つ」と言う先ほどにはなかった選択肢が生まれます。

リーマンショックの例にしても、100年に1度の大暴落と表現されていますが投資先によって年数の違いはありますが、概ね3年から5年程で市況が回復しました。 65歳の時には使えなかったとしても70歳になるころには気持ち良く使える状況になっていました。

大切なお子さまの学費を運用によって有利に準備をする場合には、お子さまがまだ小さい時から計画的に始めて十分な運用期間を確保し、使う時期の3年から5年前までには現金化の段取りをしておくと失敗する可能性を低くすることができるでしょう。

m3コンシェルジュ 高橋 和宏

いかがでしたでしょうか?

マイナス金利になったことをきっかけに各金融機関が販売手数料を求めて運用商品を販売する傾向が強くなってきました。 特に、大きな金融資産を保有していると見られているドクターは、有力なターゲットとされるケースが多いようです。

どのような投資商品を選択されるにしても、「運用成果はどこから来るのか?」「どの程度期待できるのか?」「費用や税金はどのくらいかかるのか?」「換金の制限はあるのか?」などをモノサシとして持っていると良いと思います。


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