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クリニックの保険

開業時に起こり得るリスクと
その回避に役立つ保険

m3コンシェルジュ 内田 弘

リスクマネジメント・ラボラトリー

内田 弘

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの内田弘です。

今回のテーマは「開業時に起こり得るリスクとその回避に役立つ保険」です。

ご開業されるということは医院の責任者になられるということですから、ご勤務のときに比べて様々なリスクを抱えることになります。

例えば、医療に関わる賠償責任や医療施設を原因とする賠償責任、台風・水害・火災・盗難・・・。

数えればキリがありませんが、その責任すべてを院長先生が持つのは不可能です。

多くの場合はその責任を保険に受け持ってもらうことになります。

■ 開業後、検討する保険

開業直後に検討する保険としては
  • 医師賠償責任保険: 医療行為を原因とする賠償責任
  • 施設賠償責任保険: 医療施設を原因とする賠償責任
  • 店舗総合保険(火災保険): 火災・水災・風災・盗難 など
  • 所得補償保険: 院長先生のケガや病気による休診時の補償
  • 生命保険 (1): 院長先生の死亡などによる借入金への保障
  • 生命保険 (2): 社会保障の変化(国民年金加入)による家族への保障

・・・、と多岐にわたります。 医師賠償責任保険であれば医師会に入会されるか否かで加入すべき保険種類はまったく変わりますし、少しでも勤務医を雇用する場合であればそのケアーも必要です。

生命保険であれば借入れの額や診療所の規模、ご家族構成によって加入すべき金額は大きく異なります。

かといって、できるだけ大きな額の保険をかければ良いということにはなりません。 ご開業資金の返済もありますし、診療所の運転資金も必要ですから、より効率よく必要な保険を選択する必要があります。

今回は、この中で火災保険について具体的に考えてみます。 万が一診療所で火災がおき、建物や内装を焼失させてしまった場合や、台風や洪水などの被害にあった場合、状況にもよるでしょうが、現状復帰して診療所を再開することになります。

この現状復帰に必要な資金を補償するのが火災保険となります。 テナントを借りての開業か、ご自身の建物での開業かで加入すべき保険は異なりますが、どちらにしても大きな負債が残るような状況は避けなければなりません。

■ 保険は、必要なものだけに

2015年9月には茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊、大切な家屋が流されていく場面がニュースで流れていました。

近年、保険会社が支払う保険金のうち、実は「水災」などによる補償が多くを占めてきています。 東京海上日動火災保険株式会社のデータによると、事故件数の43%が風災・雹災・雪災・水災となっております(2013年住まいの保険(充実タイプ)事故件数割合より)。

2015年10月に損害保険会社は、火災保険の大幅な保険料改定を行いました。 この保険料改定にはこのような自然災害の影響も反映されているのです。 これらのことから、火災保険は水災でも補償されるように設定することが必須と言えます。

ところが、もし診療所が都心のビルの3階や4階にあるのであれば、もしかすると水災を想定する必要は無いのかもしれません(建物の周辺状況により、水災リスクを担保する必要がある場合があります)。

また、火災保険のご契約にあたっては、保険の対象となる「財物」を正しく評価する必要があります。 なぜなら、火災保険の保険金額は契約時の評価額を基準として設定するからです。

ご開業する際は標榜科目に違いはありますが、医療機器を含め、什器・設備という保険の対象となる「財物」を導入します。 高額な機器の場合、購入ではなく、リース契約を選択されることもあります。

その場合、保険の対象となる「財物」にリース会社が損害保険(動産対象)をかけています。 では、什器・備品の全額を対象に保険加入する必要はありますでしょうか。 このような問題解決には、医院の損害保険に詳しい専門家に尋ねるのが確かです。

■ 保険は、専門家にご相談ください

ご開業の成功のために様々な専門家の力が必要です。 有利な条件で融資を受けようとすれば、医療機関の事業計画に詳しい専門家に相談されると思われます。 診療所の内装も多くの診療所の設計経験のある設計士に相談されると思います。

今回は火災保険について考えてみましたが、ご開業される際は前述のように、医師賠償責任保険をはじめとして考えなければならない保険は多岐にわたります。 なにより、ごく短い期間で検討する必要がありますので、医院に詳しい専門家にご相談なさってください。

当社におきましては、資産運用もトータルに取り扱っており、単に保険の専門家ではなく、「ドクターのための保険」に精通しております。

ドクターのための保険」とは、一般の方が加入される保険とは異なります。 保険は大きく生命保険と損害保険に分類されますが、ドクターならではのバランスの取れた保険選びが重要なのです。

リスクをもれなく保険でカバーするのみならず、間違いの無い補償内容により、先生ご自身の財産もお守りください。 セカンドオピニオンとして相談を受けていただくだけでも、きっとお役に立てることがあります。

 
m3コンシェルジュ 内田 弘

いかがでしたでしょうか?

ご開業を検討される際は、保険について相談できる専門家も早めに決められると良いかもしれません。

 

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