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コンシェルジュ 宮地 孝郎

リスクマネジメント・ラボラトリー

宮地 孝郎

こんにちは、m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている宮地です。 時代の変化と共に、医院開業の取り巻く環境も変化しています。

新規開業の事業計画はこれまでの考え方で本当に良いのか否かを、開業支援の専門家の方々と、同じく開業支援の専門家である川庄公認会計士事務所(m3.comに掲載)の植木 氏と私、計6名で意見交換をしました。

本日は「開業事情とこれからの医院開業計画」と題してお伝えいたします。

開業事情とこれからの医院開業計画
損益分岐点と労働人口不足を考える
開業事情とこれからの医院開業計画

損益分岐点と労働人口不足を考える

【宮地】
最近の開業事情をお聞かせください。

【コンサルタントA】
第三者(他人)からの承継開業を選ばれるケースが、ここ数年増えています。 土地の価格や建築費の高騰から、以前に比べて土地・建物いずれも購入されるケースは減り、土地は賃貸、建物のみ購入、あるいは土地も建物も賃貸にされるケースが増えています。

調剤薬局もマンツーマンではなく、医療モールでの出店を希望され、開業場所によっては門前で出店してくれる調剤薬局が見つからない話もあります。

【宮地】
これからはどのような開業スタイルがベストでしょうか?

【会計事務所 植木 氏】
どのスタイルがベストかは言えません。 その際に「損益分岐点」の考えを持つことが大切です。 例えば、土地・建物を購入した場合は、当然借入金額も高額になります。

損益分岐点とは、売上高と費用(ここでは借入金の返済額を含む)が同じ、利益(余剰資金は0円だが、収支0で終えることのできる最低限必要な売上高。)

資金繰りを考えると、土地・建物の賃料がよほど高額でなければ、すべて賃貸の方が資金繰りは楽ではないでしょうか。

事業の収支 → 利益 → ▲税金・返済資金(大) → 生活費

税制面を考えますと、配偶者控除・基礎控除も改正があり、スタッフがいれば当然、必要となる社会保険料の負担も増しています。

間接的なコストが増えているので、事業計画のモデルが古ければ、現実とのギャップで苦労を強いることになりますので、シビアに事業計画の策定をおすすめしています。

 
【医療機器ディーラー 開業支援担当者B】
新規開業では、医療機器の設備投資(購入費)に相場のようなものがあります。 例えば内科の場合、設備投資は2000万円~3000万円と言われますが、「2000万円で済んで良かった。」ということではありません。

1500万円の投資で3000万円のパフォーマンスが可能かどうか追及することが本当の設備投資計画です。 保守費用にも目を向けないといけません。 固定費になりますので、相見積もりの際は、保守費用の比較検討も必要です。

 
【会計事務所 植木 氏】
先ほどの損益分岐点の考え方ですが、初期投資が1000万円違うことで、10年の借入期間の場合、単純に元本の返済額は年間100万円も変わります。

固定費が少なければ、必要な売上高も下がります。 これからは労働人口不足の時代ですので、人材に投資できるよう固定費を抑える工夫をアドバイスしています。

【宮地】
医療機関の慢性的な人材不足について、お聞かせください。

【社会保険労務士C】
労働人口不足は益々顕著になってきています。 開業時から人材育成・環境整備についても議論を重ねることが必要です。 若い方は、マイカーも待ちませんので、駅近くの医院や残業・有給など条件の良い方へ流れやすくなっています。

開業時は応募が多いため給与額や条件が一般的な求人票で良くても、開業後に退職者が相次ぎ、応募がなく、困ってから取り組んでいるケースがほとんどです。

働き方改革・ワークライフバランスの変化もあって、数年前とは仕事に対する価値観も多様化しています。 魅力的な労働環境にしなければ人材不足には永遠に悩まされてしまいます。

 
【医療機器ディーラー 開業支援担当者B】
業務効率を開業時から検討することが重要と思います。 先生の好み・価格で判断するだけではなく、スタッフの業務効率にどれだけ貢献できるかをご提案の中でお伝えしています。

処方も薬局との連携も必須です。 負担が減るような仕組み(電話ではなくチャット機能)を導入。 受付業務では、「キャッシュレス・自動レジ機」「保険証・診察券をカードリーダーで読み込みカルテの自動入力化」を導入。 特に、患者数が多くなりにつれ、貢献度は高くなります。

WEB問診票も小児科など浸透しはじめています。 人員一人に匹敵しませんが、こうした仕組み作りは、これからの開業に必要になっていくと思います。

 
【1級建築士D】
内装設計はスタッフの導線・居心地の良い職場環境の配慮も大切です。 コストの兼ね合いもありますが、建材の仕様のランクを落としてでも、専用お手洗いやロッカーなど、必要なものは揃えた方が良いです。

患者様目線とスタッフ目線で設計をするため、これまで建築した医院でスタッフの方々にヒアリングをしています。

コンシェルジュ 宮地 孝郎

いかがでしたでしょうか?

医療経営に限らず言えることですが、当たり前の常識が変わってきています。

保険診療の点数は同じなため、地方・郊外の方が利益率は高いと言われます。 それは、固定費の影響です。

スタッフの定着率の高い医院では、必ず投資や工夫をされています。

新規開業も過去の常識に囚われずに、創意工夫や新しい発想が必要になると思います。

経営者の第一歩として適正な投資基準を持つことが大切ですね。

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