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m3コンシェルジュ 高橋 和宏

リスクマネジメント・ラボラトリー

高橋 和宏

みなさま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの高橋 和宏です。

「自分の身を守る投資」。 第11回は「マイナス金利で変わったこと、変わらないこと」についてお伝えします。

マイナス金利政策が導入されて2か月以上が経過しました。 経済環境への影響、金融商品への影響が徐々に広がり始めています。 資産運用を考える上で変わったことは何なのか? 逆に変わらないことは何なのか? それぞれを比較しながらお伝えしていきたいと思います。

自分の身を守る投資 第11回
マイナス金利で変わったこと、変わらないこと

自分の身を守る投資 第11回

マイナス金利で変わったこと、変わらないこと

■ 2つの変わったこと

1. 借り入れ金利の低下

私たちの生活において、良い方向に変わったことの1つが借り入れ金利です。 マイナス金利政策の導入によって、住宅ローン、事業資金の借り入れ金利が大きく低下しました。

中でも住宅ローンはメガバンクでも変動金利型であれば、1%を大幅に下回り、0.6%で借り入れが出来るようになっています。 このような状況ですので、ローンの借り換えは検討に値します。

借り換えの際のコツは、 銀行同士で借り入れ金利を競争させることです。 その際は、近くの銀行にこだわらず、多少距離があっても隣県、あるいはその先の地方銀行も含めて打診してみると良いと思います。

銀行側も貸し出し先の確保には非常に苦労しています。 お金を借りてくれるところを必死に探していますが、それでも信用がないところには貸したくないというのが本音です。

特に、今回のマイナス金利により、メガバンクに比べて貸し出し出来る体力の低い地方銀行にとっては、貸し出し先の維持・拡大が文字通り死活問題となっています。

優良貸し出し先であるドクター、あるいは医療法人であれば、多少距離が遠くても融通をきかせてくれる可能性は大いにあります。

2. 安全資産の金利の消滅

元々、あるかないか分からないくらいの銀行預金の金利がさらに低下しました。

それを受けて個人向け国債やネット銀行の定期預金等が相対的に優位であると宣伝するところがありますが、もはや0.1%未満での争いとなっているため、わざわざ時間や手間をかけてのお手続きはあまりおすすめ出来ません。

万が一の金融機関の破綻に備え、預金保険制度で補償されている「1つの金融機関に預金は1,000万円まで」というこれまでの基本を守り続けるのが懸命だと思います。

■ 4つの変わらないこと

1. リスクを取った先にリターンがある

かつての郵便貯金のような、リスクがなくリターンが大きい金融商品というのは、今はありません。 株式や投資信託、あるいは不動産投資にしても、必ず何かしらのリスクの先にリターンが待っているものです。

リスクを取らなければいけない以上は、

  • どのような種類のリスクがあるのか?
  • どの程度のリスクがあるのか?
  • 自分はそのリスクを受け入れることが出来るのか?

これらのことを事前にしっかり検討する必要があります。

さらには分散投資を行うなど、リスクを低下させる準備もきちんと行いたいものです。

上手にリスクと向き合いながらリターンを狙っていく。」 この姿勢はこれまでもこれからも変わることはありません。

2. 円資産のみならず海外資産も保有する

未来の予測はあてにならないものが多くありますが、比較的高い確率で実現されている予測の1つが「人口動態」に関する予測です。

日本の人口がすでに減少し始めていることは周知の事実となっていますが、2000年を迎える遥か以前より、この人口減少社会は予測されていました。

また、今後も人口減少が確実視されており2050年までには1億人を割り込む予測がされています。(内閣府ホームページ
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/
w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html
)

一方、世界に目を向けると人口動態は、日本と全く逆の動きになっています。 同じ2050年には97億人に達する見込みで、現在から30%近く増加しています。 (総務省統計局ホームページ、統計データ、世界の人口推移より
http://www.stat.go.jp/data/sekai/
0116.htm
)

資産運用とは、言い換えれば成長するマーケットに資金を提供する行為です。 日本国内のみならず、積極的に海外資産に投資をすれば、世界の経済成長の恩恵を受けられると同時に、いずれ訪れるかもしれない日本円の暴落リスクに備えることが出来ます。

3. 時間を味方に付ける

どのような資産運用の形態でも、短期的に成果を求めてしまうと大成功か大失敗かの二極化する可能性が高くなってしまいます。

もちろんそれが成功の方であれば問題はありませんが、失敗して大切な資産を失うことは避けたいものです。

時間をしっかり取って長期的に資産運用に取り組めば、良い時期、悪い時期を経験し、運用成果を安定させる可能性が高くなります。

4. 制度を活用する

効果的な資産運用を行うための現実的な手段として、国が用意している制度を積極的に活用すると良いと思います。 資産運用において注目すべき代表的な制度は以下の3つがあげられます。

A) 確定拠出年金(401k)
B) 小規模企業共済
C) NISA(ジュニアNISA)

A) 確定拠出年金(401k)
確定拠出年金は、ご自身の将来のための年金補完制度です。 勤務医の先生であれば年間最大27万6000円、開業医の先生であれば年間最大81万6000円の所得控除となり、なおかつ運用益が非課税となるため、節税と運用を同時に出来る非常に有効な制度です。(手数料が別途かかり、将来積み立てた資金を受取る際に税金がかかります。)

B) 小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主が退職をされた後の生活を安定させるための制度です。 そのためご利用出来るのは、開業医の先生に限られますが、年間最大84万円の掛金を所得控除とすることが出来るため、こちらも税金を抑えながら将来の資産をつくることが出来ます。

C) NISA(ジュニアNISA)
NISA(ジュニアNISA)は、株式や投資信託の値上がり益や配当を非課税とする制度です。 今年からNISAは年間120万円まで投資枠が広がり、また新たにジュニアNISAとして未成年口座でも、年間80万円まで投資が出来るようになりました。

m3コンシェルジュ 高橋 和宏

いかがでしたでしょうか?

今回はマイナス金利政策の導入前後で資産運用について考えるべき点をまとめてお届けしました。 1つ1つの内容をご理解いただいた上で、何よりも大切なのはバランスを取ることだと思います。

新年度も始まり、お仕事について、ご家族やお子さまについて、ご自身の将来についてなど考えるべき要素は多岐に亘ると思います。


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