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m3コンシェルジュ 米田 弘司

リスクマネジメント・ラボラトリー

米田 弘司

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの米田です。

先生方にはm3.comを通じて保険や年金のご相談、また診療圏調査のご依頼などでお世話になっています。 ありがとうございます。

12月9日(日)、『クリニック開業塾 大阪 2018 冬』で講師を務める河村税理士にインタビューしてきたのでご紹介させていただきます。(前回の内容はこちら

成功へ導く開業準備
利益を上げるしくみ
 

成功へ導く開業準備

利益を上げるしくみ

【米田】
『クリニック開業塾 大阪 2018 冬』の内容を主にお聞きします。

前回は、コンセプトマップの重要性についてお聞きしましたが、今回は開業される先生方が最も気になる「利益」についてお聞きます。 基本的なことですが、利益を出す法則とはそもそも存在するのでしょうか。

【河村 税理士】
まず、「売上(以後、医業収益)」がクリニックに入ってきます。 それに経費を支払う。 その残りが利益になる。 このように単純な計算です。

医業収益を大きくすることに注力するあまり、「出ていくお金(以下、経費)」が増えてしまえば本末転倒です。

よって、利益を出す法則としては2通りあります。

  1. 医業収益を上げる。
  2. 経費を下げる

単純ですが、利益を上げるための法則はいたってシンプルです。

【米田】
コンセプトマップにて描いた理想も、身の丈に合わせた経営判断が必要ですね。

【河村 税理士】
開業後、患者さんに窓口でいただくお金以外の10割~7割は2か月後にしか入ってきません。 先生が勤務医を退職され開業準備に取り掛かっている期間+開業後2か月間はまったく入金がない状態だと認識してほしいです。

また、現在の開業は競合医院が診療圏にあることがほとんどですから、開業後の安定時期まではそれ相応の時間に耐えられる精神力と余剰金の体力が必要になります。

【米田】
ここからは、経費について伺いたいのですが、経費とはそもそも利益を出すために必要な費用と認識しています。 でも、利益を出すためにあえて経費を下げなければならない考え方とはどのような理由でしょうか。

【河村 税理士】
経費は大きく2つに分かれます。

  1. 医療収益が増えるのと比例していく経費
    「医薬品費」「診療材料費」「検査委託料」などを変動費といいます。
  2. 医業収益に関係なく固定発生する経費
    「人件費」「家賃」「リース料」など。 この固定発生する費用を固定費といいます。 患者さんの来院数にかかわらず、毎月一定額が経費として支出されます。

ご盛業中のクリニックでも、経営改善策としてはまずこの固定費を見直す議論から考えます。 なぜならば、院長の采配で決められることもあるので、即効性があるからです。

【米田】
経費には変動費と固定費があることがわかりました。 でも、医業収益を上げようとすると、必然的に変動費は増えますが、それは仕方がないですよね。

【河村 税理士】
利益の計算式は、

利益 = 医業収益 - 経費

単純な計算式になります。

よって、「変動費増加 = 医業収益増加」になるので、固定費が低いほど利益が出しやすいクリニック経営ということがわかります。

【米田】
季節性の流感で年間の利益が左右されるような科目だとすると、固定費が低い方が良いということですね。

【河村 税理士】
そうです。 これを図に表すと非常にわかりやすいです。

[パターンA]が現状として考えます。 医業収益が増加すると変動費が増加します。 ただ、医業収益に関係なく一定費用は固定費ですから平行線になる。 この3本の線を見た場合、オレンジ色の三角形が利益となるわけです。

パターンA

では、この[パターンA]から固定費だけを下げたとします。 そうすると利益が大きくなります。 これが、[パターンB]です。

パターンB

一目瞭然ですね。 もし、変動費も経営努力で下げることが可能であれば、より利益が増加し、利益目標は早期達成となります。

また、この医業収益と変動費の交わる点を「損益分岐点」といい、利益の状況が変わる非常に重要な「点」ですので覚えていただければと思います。

【米田】
固定費は毎月かかる経費です。 コンセプトマップを有効利用し、本当にその医療器械は必要なのか、その家賃や内装費は妥当なのかを、しっかりと見極めていただきたいと思いました。 ありがとうございました。

m3コンシェルジュ 米田 弘司

いかがでしたでしょうか?

開業塾当日は、河村税理士が過去、開業支援したいくつかのデータを元に実際の損益分岐点をご参加の先生方と一緒に考えたいと思っております。

河村税理士は多くの新規開業の支援は勿論、開業後の税務顧問も多くされています。 近年では親族間だけでなく、第三者継承の開業方法も選択に入ってきています。

大規模な会計事務所とは異なり、顧問先のドクターの経営実態をほとんどすべて河村 税理士ご自身が把握し、アドバイスしており、私もとても頼りにしています。

 

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