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m3コンシェルジュ 森島 祥哉

リスクマネジメント・ラボラトリー

森島 祥哉

皆さま、こんにちは。 m3コンシェルジュ、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの森島です。

いざ新規開業したとなると、半年ほどの期間をおいて必ず実施されるのが「新規指定個別指導」です。

「何を確認されるのか?」「再指導になると一体どうなるのか?」といったご質問をよくいただきます。

そこで、今回は、税理士法人エイアール税理士事務所 代表社員 原 知子税理士より「新規指定個別指導」の勘所について解説していただきます。

これまでに200件以上先生方と一緒に開業に向け、開業場所の選定を始めさまざまな支援をされています。 グループには社会保険労務士事務所もあり、経営から人の問題まで幅広く対応し、医療経営に関する問題解決など幅広く活躍中です。

直前に慌てないためにも、これだけは押さえておきたいポイントを確認したいと思います。

それでは原税理士お願いします。

保存版チェックシートで勘所を確認 1回目
何を聞かれる!? 新規個別指導の具体例
 

保存版チェックシートで勘所を確認 1回目

何を聞かれる!? 新規個別指導の具体例

こんにちは。 税理士法人エイアール税理士事務所の原 知子です。

開業時によくご相談を受ける「新規指定個別指導」について、今回と次回の2回にわけて、概要(指摘事項、注意事項)と対策をお伝えいたします。


■ 「新規指定個別指導」の流れ

「新規指定個別指導」までの流れは概ね下記のとおりです。

1. 開業約6ケ月経過後に実施

2. 「個別指導実施通知書」は実施日の約3週間前に郵送

「個別指導実施通知書」の内容には、「指導日時」「場所」「持参物」「指導日までに送付するアンケート」などがあります。 内容を必ず確認して準備していただくことをお勧めいたします。

3. 患者指定の連絡

当日、指導対象となる患者カルテ【社会保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度対象者10名分(※生活保護単独含む)】について指導日の4日前に厚生局指導監査課よりFAXが入ります。

4. 当日

担当者2名(技官・事務官)と対面して面談を行います。 持参した書類のチェックと質疑応答があり、持参した患者カルテから「診療報酬の請求」と「診療内容」の矛盾がないかのチェックがされます。

5. 実施日から約1ケ月後に「指導結果通知」が届きます。

結果は「概ね妥当」「経過観察」「再指導」「要監査」の4段階に分かれます。 2009年以降、厳しくなり「新規指定個別指導」で「再指導」となるケースも増えています。

「再指導」となると1年後に30名の患者指定があり、30名のカルテを対象に再指導があります。

6. 評価が「経過観察」の場合、改善報告書を提出して終了となります。

自主返還がある場合は別途手続きが必要となります。 自主返還の取扱いについて新規指定個別指導は指導対象になったレセプト(10名分)から、指導会場で指摘された診療項目を自主的に探し出して返還することになります。


■ 「新規指定個別指導」時の指摘事項(事務事項)

「新規指定個別指導」時の持参物はもれなくお持ちいただく必要があります。 まず持参物と事前のアンケート確認を行います。

下記のような質問がありますので、回答できるよう準備していただきたいと思います。

  • 標ぼう時間と実診療時間のズレの有無
    あまりにズレている場合は変更届の提出が必要
  • 勤務医師の有無
  • 看護師の人数
  • 事務職員の仕事内容
    有資格者の業務を行わせていないかの確認
  • 保険証の確認時期
    コピーをとる場合、事前に患者から許可をとっているか
  • レセプト提出時の医師の点検の有無
  • 1日平均患者数、レセプトの単価
    事前に大まかな数字を確認しておくこと
  • 日計表の記載について
    レセプトコンピュータから出力される日計表の見方(保険証忘れの会計、未収時の会計などのプロセス等)を、事前に事務スタッフから確認しておくこと
  • 薬剤情報提供料算定に関する「文書」の確認
    自院の様式を持参
  • 後発医薬品推進の可否
  • 社会保険診療報酬支払基金などから増減点があった場合、患者からの自己負担金を清算しているか
    清算していない場合、再診の際に清算することをお勧めいたします
  • 従業員を診療した場合の負担金徴収の有無
  • 診療報酬明細書の発行の有無
    医師会や各種団体から入手できるポスターを院内に掲示

■ カルテ記載の注意事項

  • カルテは「所定様式」の要件を全て満たしたものにすること
  • カルテは保険請求の根拠であることを認識すること
  • カルテとレセプトの病名が一致していること
  • カルテは保険請求の根拠となるので必要事項、特に症状・所見・治療計画等の記載を充実すること
  • 保険診療と保険外診療のカルテを区別していること
  • 継続患者のカルテを更新する時はサマリーを記載すること
  • 主病名を明記すること
  • 傷病の転帰をすること
  • 保険証コピーは、カルテに貼付せず、ほかに保管すること
  • 訂正は二重線で抹消すること
  • 電子カルテの「管理規定」を作って運用すること
  • 電子カルテの後日記入・訂正の場合、記録を残すこと

以上が、「新規指定個別指導」の概要です。 「新規指定個別指導」では診療内容と診療報酬の請求のズレがないかをチェックするのが大きな目的ですので、日々の診療で自主点検していただくことをお勧めいたします。

m3コンシェルジュ 森島 祥哉

いかがでしたでしょうか?

年々厳しくなっているといわれる「新規指定個別指導」ですが、なんとか「再指導」「要監査」は避けたいものですね。

必ず実施されることがわかっているので、是非上記チェックリストを活用してみてください。

次回は「診療に係る指摘事項と対策」について解説いただきます。