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公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定医業経営コンサルタント コンシェルジュ 新井 常夫

リスクマネジメント・ラボラトリー

新井 常夫

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている新井 常夫です。

今年度のクリニック経営セミナー 『開業前に聞いておきたいクリニックの作り方』は、新型コロナウイルスCOVID-19の状況も鑑みて、WEBセミナーとして開催します。

今までより、遠方の先生方にもご参加いただけると楽しみにしております。 日々お忙しい先生方に少しだけ立ち止まって将来のことを考えていただく一助になればと思っております。

メールマガジンでは、前回シリーズの【開業医の先生からの質問 クリニック開院後(承継後)編】ではご案内しきれなかったことや、補足を中心に公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定医業経営コンサルタントの立場から、 【開業医の先生からの質問 クリニックの事業継続計画BCP(Business Continuity Plan)】として5回シリーズでお答えしていきたいと思います。

第2回は「新型インフルエンザ編その1」について、ご案内していきます。

それでは、どうぞ。

【開業医の先生からの質問 クリニックの
事業継続計画BCP】
第2回 「新型インフルエンザ編その1」

【開業医の先生からの質問 クリニックの
事業継続計画BCP】

第2回 「新型インフルエンザ編その1」

■ 「新型インフルエンザの事業継続計画BCP」

前回お話しさせていただきましたが、「自然災害発生時」と「新型インフルエンザ流行時」のBCPは、大きく異なります。 また、診療科目によっても、その対策や準備すべきものは異なってきます。

今回と次回で新型インフルエンザ流行時のBCPとして準備すべきことを中心にお話ししたいと思います。

 

■ クリニックの方針を決めましょう

緊急事態になった時に冷静な判断ができる様に少人数のマンパワーで成り立っているクリニックほど、事前の準備が必要です。

医療機関で働く方は、医療に関わるリスクを覚悟されている方が多いと思いますが、「新型インフルエンザの際にご自身の医院はどの様に対応していくのか?」を明示しないと、いわゆる主婦のパート感覚のスタッフは、新型インフルエンザの感染を恐れ退職してしまう場合もあります。

院長先生がお持ちの医療人としての覚悟や自覚とは異なる場合がありますので、スタッフを新型インフルエンザから守る方針、方法を明確にし、その対策を立て事前に示すことが重要です。

また、未知の新型インフルエンザの場合には、フェイクニュースにスタッフがまどわされることもありますので、できり限り正しい情報をスタッフと共有していくことが必要です。

 

■ マニュアル・プラン・アクションカードの策定の必要性

  • スタッフ同士のソーシャルディスタンスをどの様にとるのか?
  • 医療機器やレセコン、院内用iPad、事務機器、ドア、手すりなどの共有するものでの感染防止をいかにしていくのか?
  • 院長先生やスタッフが新型インフルエンザに罹患した場合、
    院長先生やスタッフの同居の家族が罹患した場合、
    院長先生やスタッフと濃厚接触者が罹患した場合、
    患者さんに対して、院内感染をいかに防いでいくのか?

を明確に示す必要があります。

最近のクリニックの多くが、いわゆるカウンター型になっており、多くのクリニックでは、ビニールシートなどの簡易の仕切りで患者さんとの接触を避けているところが多い様です。

感染防止対策の外科用マスク、手袋、ガウン、ゴーグル(フェイスシールド)などが入手困難になった場合の代替えは?どうするのか?も含めて考えます。

 

■ 新型インフルエンザ流行前にする人員確認、準備

  • 職員情報の確認:
    緊急連絡先、通勤経路・通勤方法、学校・保育施設に通う子供の有無、要介護の家族の有無、その他支援の必要性の有無等。
  • 職員の健康状態の確認、罹患時の対応の周知:
    職員の健康状態の報告、本人や家族が罹患した場合の連絡方法等の周知。
  • 人員計画:
    職員が欠勤した場合の代替え要員の検討。

特に、学校・保育園の休校・休園や家族の看病等で欠勤する可能性のある職員を予め把握し人員計画を策定するほか、在宅勤務について検討する。 また、特に都市部の医療機関においては、時差出勤の採用、自家用車等での通勤の許可等も検討する。

  • 優先業務の把握:
    継続すべき優先業務と縮小すべき業務をリストアップしておく(縮小すべき業務の例:出張・講演会・会議の中止など)。

 

■ 職員が罹患した場合の対応について

新型インフルエンザ等の流行期間中に、職員が、発熱等の症状を認める際には、出勤せず早期に医療機関を受診するよう注意喚起を行います。 職員が新型インフルエンザ等による症状を認める場合には、標榜科目にもよりますが、当該医療機関内においても受診できる体制を構築しておくことが望まれます。

また、職員が罹患した場合の報告体制、就業制限の期間等を事前に定めておく必要があります。 職員が発症した場合の対応や多くの職員が欠勤した場合の業務継続のための方策等を検討しておく必要があります。

 

■ 備蓄物資の確認

医療機関において災害用に備蓄している医療資機材(マスク・ガウン・手袋・簡易ベッド等)や非常食(患者用・職員用)等を確認し、新型インフルエンザ等対策で共用できる物資をリスト化しておくことが望まれます。

ご自身の、医療機関の標榜科目の役割に応じ、新型インフルエンザ等対策のため、別途備蓄あるいは在庫量を増やすなど必要な対策を検討する必要があります。

 

■ 個人防護具等の確保について

新型インフルエンザ等の発生に備え、平時から、対策に必要となる個人防護具(マスク、ガウン、手袋等)や速乾性手指消毒剤等の使用状況・在庫状況を把握するするとともに、必要に応じて備蓄あるいは在庫量を増やします。

 

■ 教育・研修・訓練

全てのスタッフが、緊急事態に不安を感じることなく対応できる様にパート、常勤の区別なく全てのスタッフと自医院のBCPの情報共有をする必要があります。 定期的に勉強会、カンファレンスなどで確認することがお勧めです。

自医院の診療継続のための事務機能、財務管理の見直し、強化、情報収集、発信、共有体制の確立をしてみてください。

[参考文献] 厚生労働省
新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou
/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/kenkyu.html


平成25年政府行動計画・ガイドラインを踏まえた「医療機関における新型インフルエンザ等対策立案のための手引き」(平成25年9月 暫定1.1版)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou
/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/guide_tebiki-02.pdf

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定医業経営コンサルタント コンシェルジュ 新井 常夫

いかがでしたでしょうか?

私は、正しい情報に基づいたクリニックの経営を良くするお手伝いをすることで、地域医療に貢献されている先生とご家族の安心、安全、豊かで幸せな未来作りにお力添えできればと思っております。

ぜひ私をセカンドオピニオンとして、ご活用いただければ幸いです。

今年度のクリニック経営セミナー 『開業前に聞いておきたいクリニックの作り方』は、新型コロナウイルスCOVID-19の状況も鑑みて、WEBセミナーとして開催します。

「これから開業どうしようかな?」と考えていただく際のヒントをお伝えできればと考えておりますので、開業をご検討中の先生はもちろん、既に開業されている先生もぜひご参加ください。

今までより遠方の先生方にもご参加いただけると楽しみにしております。

また、クリニック院長先生のための医院経営について、「WEBテレビ会議サービスZoom」を使っての総合的な無料コンサルティングも行っていますので、お悩みの先生はお気軽にご相談ください。

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