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コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

今年6月に金融庁が老後の資金について、「まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。」と発表しました。

参考資料: 金融庁『金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について』
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

このうち「2000万円が不足する」という部分だけが取り上げられ、2000万円問題として話題になり、多くの注目を集めることとなりました。

この問題をどのようにお感じになられたでしょうか? 今回はこの老後資金の問題を少し掘り下げてみたいと思います。

それでは、どうぞ。

【開業前に知っておきたいクリニックの作り方】
その1 ドクターのためのやさしいマネー講座

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■ 老後の過ごし方を考える

先生方は老後をどのように過ごしたいと思っておられるでしょうか?

先生方の場合は「医師」という仕事の特性から、老後といっても仕事をし続けることも可能です。 また、仕事の量を減らして貯蓄を取り崩しながら生活する、といったスタイルも考えられると思います。

どの選択にも正解も間違いもありませんが、老後を迎えられた際に「困った」とならないように、どのようなことを意識しておけばよいのか、知っておくことが重要です。

また先生方の場合、勤務医・開業医・医療法人理事長、など勤務形態によって考えるべき問題は変化します。 さらに、そのご状況が変遷していくことが特徴でもあるため、その変化に耐えうる方法を選択しておくことも重要となります。

「老後の資金」を確保する手段として収入を増やす、こつこつ貯める、貯まった資金を運用する・・・様々な方法が考えられます。

「収入を増やす」という点については本講座の2回目の「患者さんに選ばれ続けるクリニックの作り方」が参考になるかもしれません。

それでは「こつこつ貯める」といっても、この低金利の時代にどのように貯めればよいのでしょうか?

先生方の勤務形態や教育資金需要の高い時期などのライフステージによっても異なりますが、現在の支出を減らして老後に向ける資金を捻出する、ということが難しい状況や時期も考えられます。

 

■ 国民負担率

ここで、財務省が発表している「国民負担率」について見てみます。

国民負担率とは租税負担率と社会保障負担率を合計した数値で、財務省のデータによると、平成31年度の国民負担率は、平成30年度から横ばいの、42.8%となる見通しとのことです。

参考資料: 財務省『平成31年度の国民負担率を公表します』 https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/20190228.html

先生方の租税負担の今後ですが、所得税だけ見ても平成27年度の税率改定、来年まで続く給与所得控除の上限見直しなどじわじわと負担は増えていきます。

参考資料:
国税庁『所得税の税率』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
国税庁『給与所得控除』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

また、日本の所得税は超過累進課税ですので、この租税負担は所得の高い方はより負担が重くなります。

 

■ iDeCoや、つみたてNISAの活用

前述の「金融庁の発表」の中に「長期に亘る資産形成を支援する制度として、税制面で一定の優遇が行われている「つみたて NISA」と「iDeCo」がある。」との表記があるように、一定の税制優遇のある積み立てなどの検討も老後資金の準備には重要な要素です。

参考資料:
厚生労働省『iDeCoの概要』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu
/ideco.html

金融庁『つみたてNISA』
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html

この他にも税制優遇の制度はいくつか用意されています。 10月のセミナーではこれらの制度についても触れる予定です。

また、「iDeCo」などは拠出時のみではなく、受取時にも退職所得として税制優遇が受けられます。

参考資料:
国税庁『退職金を受け取ったとき(退職所得)』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
国税庁『退職所得となるもの』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2725.htm

説明は国税庁のサイトに譲りますが、他のどんな所得よりも優遇された制度となっていますので、老後資金を考える際には退職所得を得ることは大きなメリットとなります。

さらに医療法人を経営されている先生方であれば、ご自身でも退職所得を得る制度を作ることができますので、ライフプランに合わせてぜひ検討いただきたいものです。

コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

先生方の所得水準の平均が高いということは周知の事実です。 老後資金を考えるうえで、毎年の租税負担を減らすことのできる制度や、受取時に税制優遇のある制度などの検討が重要なことはお分かりいただけると思います。

ですが、「iDeCo」も「つみたてNISA」も運用をご自身でなさる必要があります。

資産運用については当社コンシェルジュ:高橋のメールマガジンも参考にしていただき、税負担を軽くして老後資金を積み立てることをおすすめいたします。

10月22日火・祝)「ドクターのためのやさしいマネー講座」では、資産運用の基本的な考え方もお伝えする予定ですので、「老後資金の積み立て方法に興味がある」、という先生はぜひセミナーにもご参加ください。