m3QOL君m3QOL君 メルマガ

m3コンシェルジュ 小野 博史

リスクマネジメント・ラボラトリー

小野 博史

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている小野です。

今回は、多くの医師の皆さまが関心のある確定申告から、セルフメディケーション税制についてです。

執筆は、m3.comに掲載されており、東京(本社)・名古屋・大阪・福岡・シンガポールに拠点があり、医療機関経営支援の専門事業部を持つAGSグループAGS税理士法人/株式会社AGSコンサルティング)桑田 光章税理士にお願いしました。

それでは、どうぞ。

従来の医療費控除と、どちらがお得?
セルフメディケーション税制について

従来の医療費控除と、どちらがお得?

セルフメディケーション税制について

皆さま、こんにちは。 AGSグループ、AGSコンサルティング・ヘルスケア事業部、税理士の桑田です。

そろそろ確定申告の準備が必要な季節になってまいりました。 今回は、一昨年から導入されているセルフメディケーション税制のおさらいをしてみようと思います。


■ セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは

セルフメディケーション税制とは、平成29年1月より導入された、国民のセルフメディケーションの推進を目的とした税制施策です。

セルフメディケーションとは、WHO において「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。

セルフメディケーションを推進していくことは、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取組を促進することはもちろん、医療費の適正化にもつながると厚生労働省は国民へ推進しています。

具体的内容としては、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものとされています。

対象者は、所得税や住民税を納めており、「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」として定められている以下のいずれかを受けている個人とされています。

  • 特定健康診査
  • 予防接種
  • 定期健康診断
  • その商品を取り扱う営業担当者にすすめられた
  • 健康診査
  • がん検診

 ※ 企業等での定期健康診断も含まれます。

控除の対象については、平成29年1月1日以降に、市販薬(要指導医薬品及び一般用医薬品)のうち、医療用から転用された特定成分を含む医薬品を、年間1万2,000円を超えて購入した際に、1万2,000円を超えた部分の金額について所得控除(上限8万8,000円)を受けることができるとされています。

 

■ 対象の医薬品について

医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで購入できる OTC医薬品に転用された医薬品(いわゆるスイッチ OTC 医薬品)です。

対象の医薬品は、厚生労働省のHPで掲載している他、一部の製品については関係団体による自主的な取組により、対象医薬品のパッケージにこの税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

・ セルフメディケーション税制対象品目一覧
 <平成30年11月19日時点>
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000333654.pdf

・ 識別マーク
セルフメディケーション識別マーク

 

■ 確定申告について

確定申告をする必要がある方は毎年2月15日から3月15日の定められた期間に確定申告を行う必要があります。

申告の際は「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」を受けた結果、発行される「領収書」又は「結果通知表」に(1)氏名、(2)一定の取組を行った年、(3)保険者、事業者若しくは市町村の名称又は医療機関の名称若しくは医師の氏名の情報が必要になりますので、事前に必要な提出物を確認しておくことをお勧めします。

なお、結果通知表は写しによる提出が可能であり、健診結果部分は不要であるため、該当箇所を切り取ったり、不要部分を黒塗りしたりすることを厚生労働省は推進しています。

また、健診等にかかった費用にかかる領収書を用いる場合には原本提出が必要なので、注意が必要です。

 

■ 従来の医療費控除との併用について

セルフメディケーション税制は「医療費控除の特例」という医療費控除の一部であるため、「従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を併用することができない」ことになっています。

従来の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらで所得控除を受けるかは、申告者が自ら選択をすることになります。

このため、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合には、この特例の対象となる特定一般用医薬品等購入費以外の医療費の額が適用下限額(10万円と総所得金額の5%相当額のいずれか低い方の金額)を超える場合であっても、従来の医療費控除を併せて受けることはできません。

なお、同一世帯の中に、従来の医療費控除により申告する人と、この税制により申告する人がいる場合には、それぞれが所得控除を申告することができます。

 

■ 従来の医療費控除との比較

従来の医療費控除の要件が以下となります。

(1)  納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

(2)  その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。) ※ 対象となる医療費には、治療や療養に必要な医薬品の購入の対価であれば、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入費も含まれます。

従来の医療費控除額の計算方法
医療費控除額(最高200万円) = 実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填される金額 - 10万円(その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)

セルフメディケーション税制控除の計算方法
セルフメディケーション税制による医療費控除額(最高8万8千円)= 実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額 - 保険金などで補填される金額 - 1万2千円

セルフメディケーション税制については、「対象のスイッチOTC医薬品への使用金額」と限定されていますが、日常的に使用する目薬や軟膏、風邪薬等も対象の医薬品とされています。

従来の医療費控除の対象については、医療費や処方箋等の医薬品・入院時の食事代や通院時の 公共・交通機関の交通費、歯列矯正が必要と認められる場合の歯列矯正費用も対象になります。

また、従来の医療費控除の場合、年間の医療費が10万円を超えない場合でも、「その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額」を上回れば、医療費控除の対象となるので、留意が必要です。

 

■ まとめ

医療費控除は対象金額の最低金額が大きいので、控除の金額も大きくなりますが、一年間の使用医療費・受ける医療の種類によって、どちらがお得になるか、シミュレーションしてみることをお勧めします。

また、日常的に医療機関にかかることが少ない方でも、常備薬や風邪薬・軟膏や目薬等をセルフメディケーション税制の対象医薬品に変更することで、少額でも減税が受けられる可能性があると同時に、健康管理を今まで以上に積極的に考えるきっかけにしてみるのも良いかもしれません。

参考
・ 厚生労働省医療費控除に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000176205.pdf

・ 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1131.htm
https://www.keisan.nta.go.jp/h29yokuaru/ocat2/ocat22/cid171.html

m3コンシェルジュ 小野 博史

いかがでしたでしょうか?

今回、確定申告で話題になっている、セルフメディケーション税制のおさらいとして、皆さまにお伝えしました。

一般の方は医師の皆さま以上にセルフメディケーションについて関心が高く、AGSグループも多くの問い合わせを受けているそうです。

執筆をお願いした桑田税理士が所属しているAGSグループ(AGSコンサルティング/株式会社AGSコンサルティング)では、医療機関経営について総合的なコンサルティングを行っています。

聞いてみたいことのある先生は、ご相談なさるのもよろしいかと思います。

  ⇒ AGSグループ へ相談

  ⇒ AGSグループ 過去のメルマガ