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m3コンシェルジュ 佐久間 洋

リスクマネジメント・ラボラトリー

佐久間 洋

皆さま、こんにちは。 m3.com上において、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーのコンシェルジュを務めている佐久間 洋です。

当社では6月から幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方というセミナーを3回にわたって開催します。 日々お忙しい先生方に少しだけ立ち止まって将来のことを考えていただく一助になればと思っております。

4月から4回シリーズでこのセミナーの講師陣より「先生方の幸せな老後についてどのように考えていけば良いのか」をお伝えしています。(前回の内容はこちら

第3回の今回は「個人クリニックの承継と医療法人の承継」について、当社コンシェルジュの新井 常夫よりお伝えします。

それでは、どうぞ。

【幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方】
第3回 個人クリニックの承継と医療法人の承継

【幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方】

第3回 個人クリニックの
承継と医療法人の承継

皆さま、こんにちは。 同じくコンシェルジュを務めております新井 常夫です。 クリニックの事業承継は概ね以下の4つの方法で行われています。

  1. 個人事業形態でお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)
  2. 「基金拠出型医療法人」を設立してお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)
  3. 「経過措置型医療法人」をお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)
  4. 譲渡(売却)、承継せずに徐々に診療時間を少なくしていき、ご自身の判断で閉院、又は、お亡くなりになるまで一生涯現役、その後ご遺族が閉院

このうち「4.」以外の3つについて、その方法や問題点について考えてみます。

 

1. 個人事業形態でお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)

個人事業形態でクリニックを承継する場合、現院長のクリニックを一度閉院し、次の施設管理者があらためて開設届の手続きをして開業することになります。

事業承継後継続して診療を行いたい場合には保険医療機関指定申請などの手続きを間違いなく行うことが重要です。

また、施設管理者が変わり新たなクリニックとしてスタートしますので、過去のカルテの引き継ぎは、第3者への承継の場合はもちろん、たとえ親子承継でも個々の患者さんに個人情報の引き継ぎの承諾を得なければなりません。

それ以外にも「クリニックが賃貸物件であれば貸し主から継続賃貸の承諾が得られるのか? その費用は?」など、確認が必要ですし、クリニックの土地や建物をご自身で所有されている場合でも、土地、建物を新たなクリニックに「賃貸するのか?」「譲渡(売却)するのか?」、お子様に承継の場合でもその時点で「贈与するのか?」「賃貸するのか?」なども考える必要があります。

 

2. 「基金拠出型医療法人」を設立してお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)

お子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)、どちらの場合でも、医療法、定款に基づく医療法人の役員、社員の変更だけで現存のクリニックを閉院せずに承継できますので、個人での事業承継のような複雑な手続きとはなりません。

またカルテの引き継ぎも開設者は同じ医療法人になりますので、個々の患者さんに個人情報の引き継ぎの承諾を得る必要もありません。

医療法人のクリニックの建物や土地は、賃貸物件に入居している場合、理事長から賃借している場合、医療法人が所有している場合などいくつかのパターンがあります。 賃貸物件に入居している場合、契約の当事者は医療法人で変更されるわけではありませんが、貸し主には報告をしておくほうが良く、貸し主が現理事長になる場合には賃料設定など明確にしておく必要があります。

基金拠出型医療法人でお子様に事業承継する場合のメリットとしては、お子様が理事長に就任し、現院長が理事長を退任しても、理事として理事報酬を得ることができますし、基金拠出型医療法人は持分がありませんので、「設立時に拠出した基金の拠出金額の評価」のままでお子様に譲渡(売却)、贈与、相続することができます。

逆に第三者に事業承継する場合は医療法人の価値の算定が重要ですし、スタッフ雇用の継続なども問題となりますので、十分な検討が必要です。

 

3. 「経過措置型医療法人」をお子様に承継、又は、第3者に譲渡(売却)

経過措置型医療法人を承継する場合、基金拠出型医療法人の場合と大きく異なるのはその持分の考え方となります。

第三者への承継の場合はそのクリニックの価値を算定して譲渡することになりますが、お子様への承継の場合はその持分を、決められた評価方式によって計算し、算定された持分の評価額でお子様に譲渡(売却)、贈与、相続することになります。

承継を検討されている経過措置型医療法人の多くは、現理事長の努力で大きな収益を上げ、資産も大きくなっており、その結果持分の評価額は思った以上に高額です。

この持分の評価額が大きくなればなるほど贈与税や相続税の負担が重荷となりますし、将来の財産分割の際の足かせとなってきます。

経過措置型医療法人の多くはこの持分に対する対策がなされていません。

この問題の存在は認識されておられても、「どのような対策が有効なのかわからない。」、「兄弟仲は良いから分割の問題はおきないだろう。」、「相続税は何とかなるだろう。」など、問題を先送りにされている先生方も見られます。

経過措置型医療法人の持分対策には決定的な方法もなく、時間が必要な場合が多いので、少なくとも現在の持分評価額を算定しておくことは重要です。

また、最近注目されている手法の一つに経過措置型医療法人を基金拠出型医療法人に変更して承継する方法があります。

この場合は「持分のある医療法人」が「持分のない医療法人」になるため、その持分について医療法人が贈与税を負担する必要がありますが(みなし贈与税)、平成29年10月1日から平成32年9月30日の間に移行計画を厚生労働省が認定した場合にはこの贈与税を非課税とする「移行計画の認定制度」が創設されています。
(ご参考: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000180870.pdf

m3コンシェルジュ 佐久間 洋

いかがでしたでしょうか?

医療機関の事業承継にはさまざまなパターンがありますが、それぞれにメリットデメリットが存在します。 「承継の問題はずっと先のこと」、「子供が承継してくれるかどうかわからない」など、承継の問題には不確定要素が多く、検討しにくいことが多いのは事実です。

ですが、先生方に幸せな老後を迎えていただくためには現時点での置かれた状況を整理し、将来どのような選択肢があるのか、今のうちに情報収集していただくことが必要ではないでしょうか。

当社では、8月18日(日)に「クリニック経営セミナー東京 2019 幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方」を開催します。

本テーマでのメールマガジンは3回目ですが、「幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方」について、細かな部分を紙面でお伝えすることはとても難しいと感じております。

ぜひ、本セミナーにご参加いただき、「幸せな老後を迎えるためのクリニックの作り方」を一緒に考えさせていただく機会をいただければと思います。

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